みなし残業の罠
みなし残業とは、残業が有ることを予め見越して、
その分の残業代を文字通り「みなす」制度です。
1.みなし残業の経験
私の周りに聞いてみると、
ちらほらと、この制度を導入している会社が有ります。
この私も「みなし残業」の会社に勤めておりました。
初めて勤めた会社から「みなし残業」だったため、
営業はそうなのかなと思っておりました。
直前まで勤めていた会社では、
「みなし残業をしていると、経営が楽だ」と、
社長が申しておりました。
そりゃぁ、そうでしょうね。
人件費が決まった金額以上に変動しないのですから。
労働者側はたまったものではありません。
いくら働いても賃金が変わらないのですから。
「(使えない)A君に(無用な)海外転勤を命じたら
なぜか自主退職しちゃったから、(実質クビ)
その分の担当の仕事はお前がやってね」
会社はこんなこんな事をして、
まんまと人件費を削っていました。
二人分の人件費が一人分になり、
残った私には、どんなに遅くまで頑張っても
残業代は「みなし残業」だから払わなくてよい、
ということになります。
確かに経営は楽ですね。
2.無知ゆえの、、、
退職後知った話。
社労士の試験勉強をして驚いたこと。
それは、
みなし残業を超えた時間は、残業代がもらえるということ。
例えば、一日2時間までが「みなし残業」だとして、
2時間を超えた部分は、サービス残業だと認識だと思います。
しかし実際には超過した部分は請求できるのです。
一般的に「みなし残業」を導入している企業は
労働時間を把握する意味がないため、
タイムカード等で管理していないかと思いますが、
労働者が毎日ノートに記したり、
パソコン等に仕事をしていた証拠を
残すことによって、請求できます。
3.そもそも「みなし残業」って
労働基準法 38条
「事業場外労働におけるみなし残業時間」
そもそも、「みなし残業」を使えるのは、
この法律では、事業所外労働、
つまり事業所の外で働いていて、
労働時間を算定し難いときは、
所定労働時間労働したとみなすのです。
それを超える労働に関しても
通常必要とされる時間労働したとみなす。
という法律です。
事業所外で働いていても、下記のような場合は労働時間が
算定できるため、みなし労働時間制の適応はないものとなります。
①何人かのグループで働いて、その中に管理する人がいる。
②無線やポケベル(今でいう携帯電話)等によって
随時使用者の支持を受けながら労働している場合。
③事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を
受けた後、事業所外で指示通りに業務に従事し、その後事業所に戻る場合。
これを見て、事業所で働いている人は、
始業と終業の算定はしっかりできるし、
外にいても、携帯電話で都度連絡が付けられるし、
基本的に「みなし残業」って使えないのではないかと、、、
4.まとめ
「みなし残業」は
経営者にとって都合の良い制度、
労働者にとって都合の悪い制度と思います。
基本的に、使用者は労働時間を把握していないといけません。
使用者が把握していない場合、
自分で記録しておくことを強くお勧めします。